台風一過はよい天気になることが多いのに、今朝は重たい雲に覆われた茨城県南部です。
曇りといえば、一年程前に雲に隠れた太陽の写真を撮ったことがありました。
昔、「雲隠る」というのは「死ぬ」という意味でもありました。
・百伝ふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ (大津皇子)
(磐余の池で鳴く鴨を見るのも今日が最後、私は死ななければならない)
奈良時代よりももっと前に生きた大津皇子の辞世の歌です。
彼は謀反人として殺されてしまった人ですが、どうも濡れ衣だったようで・・・。
大津皇子には大伯皇女という姉がいて弟の大津皇子を二上山に葬った時の歌が残っています。
・うつせみの人なる我や明日よりは二上山を弟背とわが見む (大伯皇女)
(この世に残る私は明日からは二上山を弟と思ってみることにしよう)
・磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君がありといわなくに (大伯皇女)
(岩の上に咲いているアセビを手折ってみましたが、見せたいあなたはもう生きていのですね)
馬酔木はアセビ、大津皇子には奥さんがいたようですが、この姉弟はまるで恋人のよう・・・。
雲に隠れた太陽はまた顔をみせますが、人が雲隠るとそれは永遠の別れなんですね。
去年の今頃撮った雲に隠れた太陽の写真を見て、ふと思い出したことを書きましたが、
何だかしめっぽい話題になってしまいました。