Hatibei's music blog

以前は写真ブログでしたが、最近はもっぱら音楽の話題です。

Let it be(Super Deluxe)

今日発売のビートルズの Let it be のスーパーデラックス盤を午前0時過ぎからアマゾンミュージックHDで早速(久しぶりに徹夜して)聴いてみました。オリジナル盤の音を尊重しているようで、今回は大幅に音を変えることなく、いくらか音が明瞭になったかなぁという程度のリミックスでした。アルバム Let it be (LP) が最初に発売された時(1970年)確か豪華な写真集が付いていましたが、音質は妙に高音がこもっていた記憶があります。発売当時はフィルスペクタープロデュースなーんてことをほとんど意識して聴かなかったけれど、それまでのアルバムの音とは感じが違って違和感がありました。レコードジャケットのアップルマークが赤く(熟していて)ビートルズの解散を印象づけていましたっけ。その後、アルバムがCD化されて高音のこもった感じはうすらいだものの、ビートルズのアルバムの中では内容がイマイチかなとずっと思っていました。そういった印象は今回のリミックス盤を聴いたところで変わりません。ポールマッカートニーはフィルスペクターのプロデュースが気に入らなかったらしく、ビートルズが解散して30年以上たった2003年にフィルスペクターによってなされたオーヴァーダビング(オーケストラやコーラス)を取り去った Let it be...naked というアルバムが発売されました。このアルバムはぐっと音質が向上していたし、リミックスされた音源をそれなりに楽しめましたが、今回のリニューアル盤は、ま、コアなファンが沢山収録されているアウトテイクを聴いて楽しむためのアルバムといった感じです。正式に発表されたグリンジョーンズミックスはブートレグで聴くよりは音がはっきり明瞭になりましたが、ただそれだけといったところ。その他のアウトテイクに関しては、ブートレグを聴いているのとたいした違いは感じません。ルーフトップでの演奏の完全な音源でも入っていればまだ聴きどころがあったのに残念です。今回発売されたスーパーデラックス盤は包装ばかりが立派になって再発買された Let it be のリニューアルアルバムというのが率直な印象です。ま、本棚(CDラック)に飾っておくにはよいかもしれませんけど。

ビートルズといえば、先月発売された新潮新書の「ビートルズ」(北中正和)という本を読んだんですが、これはかなり面白かった。ビートルズについて書かれた本というよりはビートルズの歴史的(文化的)バックボーンについて書かれた本といった感じで、ビートルズに関してある程度知識があることが前提で書かれた本といえそうです。ビートルズに関する本は山のようにあるけれど、これまでになかった切り口でのビートルズ本といえそうです。関心のある方は読んでみて損はないと思います。たとえば、
「1640年代から1830年代までのヨーロッパの船が運んだ奴隷は推定600万人、1720年から1807年の間、奴隷貿易に関わったヨーロッパ船の半分がイギリス船でまたその八割がリヴァプールを寄港地にしていた(後略)」
なんてことが延々と書かれていて、それがビートルズと何の関係があるのかと思わないでもないのだけれど、彼らの音楽のルーツを考える上でそういった歴史が無関係ともいえない訳で・・・。ジョンレノンやポールマッカートニーの祖父達と音楽との関係まで書かれていましたっけ。